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「NICHE 07」出版 地中海の中心に浮かぶ島 サルデーニャへ!

  • 2020.12.1
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2020年12月1日発売 書籍『NICHE 07』日伊バイリンガル
地中海の中心に浮かぶ島、サルデーニャへ!

大学の知的資源やネットワークを生かして社会に貢献する建築とデザインの本
Pubblicazione di architettura e design che mette a disposizione della collettività il sapere e la rete di risorse dell’università



海外への好奇心と学びを還元する力
巻頭言
 NICHE出版会では2014年から「 大学の知的資源やネットワークを生かして社会に貢献する」という理念を掲げ、ニッチな題材を徹底的に掘り下げる編集体制をとってきた。本年度、NICHE編集部は縁あってイタリアのサルデーニャ島に飛んだ。
 多くの人にとって聞き覚えがあるのは、イタリアの島国をブーツに見立てるとしたら爪先に位置し、映画「ゴッドファーザー」の舞台となったシチリア島だろう。一方、サルデーニャ島はブーツのむこうずねよりも西、地中海の中央に位置する、四国の1.3倍ほどの大きさの島だ。紀元前の巨石文化をはじめ、様々な文明が混じり合い、独自の文化を育んできた。しかし日本での知名度は低く、ガイドブックは数えるほどしか出ていない。8月いっぱいサルデーニャを時計回りに巡り取材した周遊記を第一章に記した。
 第二章では歴史をまとめた。サルデーニャの多様かつ複雑な歴史を、アンドレア・ルッツォーニ氏に執筆して頂いた。紀元前のヌラーゲ時代から1861年のイタリア統一までの通史は、旅先で目にした様々な事物を補完する内容であった。中島智章先生にはカリアリの中近世について、そして土屋和男先生には初期キリスト教やロマネスクの教会について解説していただいた。地中海におけるタロスの位置づけについては香川浩先生が執筆した。日本のテレビ番組等でも取り上げられる不思議な水の聖地については陣内秀信先生、先史時代の謎に満ちた巨石文明については、藤森照信先生にご寄稿していただいた。
 第三章では伝統工芸の成り立ちを記した。ステファノ・エルコラーニ氏による総括、および、ジュエリー、かご、テキスタイルの記事は、サルデーニャの日常を彩る細やかな手仕事の背景を捉えている。また、エミリアーノ・カッペリーニ氏による織機工場のワークショップ体験記は、昨今の伝統と革新のバランスの取り方を記録したものだ。
 第四章ではサルデーニャ特有の風景をジョヴァンニ・ピリアルヴ氏が解説した。さらに、祭礼と、そのハレの機会に欠かせない菓子や料理についてはジョヴァンニ・ファンチェッロ氏が綴った。シェフであり研究者である視点でのヌラーゲ時代から続く食文化の考察は貴重である。
 第五章では日本で紹介されたことのなかったサルデーニャの美術を取り上げた。ステファノ・レズミニ氏の美術史は、西洋美術史との関連からも興味深い。マリア・ライとコスタンティノ・ニヴォラについては、各美術館や財団の協力を得て正式に日本に紹介できる運びとなった。
 帰国後に寄稿記事の編集が始まり、コロナ禍にイタリア語記事の翻訳を進めた。本書で紹介した祭礼はすべて教会で司祭が祈るのみで、人々の行進は中止となった。改めて日常の大切さを感じるとともに、『NICHE 07』が日本とサルデーニャの架け橋となることを願った。
 大学という学び舎は知的資源の宝庫である。そして言語と国境を越えた人的ネットワークこそ、未来への力を育む。NICHE編集部では、皆様からの忌憚のないご意見とご感想を励みに、ニッチな視点で世界を切り拓いていきたい。

NICHE編集長、工学院大学
鈴木敏彦

『NICHE 07』
2020年12月20日 第 1 刷 発 行
編集・著作人 NICHE(工学院大学建築学部同窓会NICHE出版会)
鈴木敏彦、中島智章、香川浩、蔡龍保、杉原有紀、土屋和男、類洲環、ほか
制作 株式会社ATELIER OPA
印刷所 シナノ書籍印刷株式会社
発行所 Opa Press
発売所 丸善出版株式会社
大型本: 243ページ
言語 日本語、イタリア語
伊日翻訳 杉原有紀
ISBN-13: 978-4908390098

地中海の中心に浮かぶ島 サルデーニャへ!




サルデーニャの歴史 


サルデーニャの中近世 島都カリアリの歴史的建造物をめぐって


サルデーニャのロマネスク教会


タロスの遺跡と地中海


サルデーニャ 謎の石造遺跡の島


3章 サルデーニャの歴史


サルデーニャの風景 


サルデーニャ各地の祭礼


サルデーニャ料理の歴史


サルデーニャの芸術

『NICHE 07』 地中海の中心に浮かぶ島、サルデーニャへ!目次
1章 地中海の中心に浮かぶ島 サルデーニャへ!
巻頭言 鈴木敏彦
はじめてのサルデーニャ 杉原有紀
2章 サルデーニャの歴史
サルデーニャの歴史 アンドレア・ルッツォーニ
サルデーニャの中近世 島都カリアリの歴史的建造物をめぐって 中島智章
サルデーニャのロマネスク教会 土屋和男
タロスの遺跡と地中海 香川浩
サルデーニャで出会った水の聖地 陣内秀信
サルデーニャ 謎の石造遺跡の島 藤森照信

3章 サルデーニャの伝統工芸
職人技からデザインへ サルデーニャの伝統の進化 ステファノ・エルコラーニ
ジュエリー
織物
かご
サルデーニャの織物の伝統をたどる旅 エミリアーノ・カッペリーニ

4章 サルデーニャの文化
サルデーニャの風景 ジョバンニ・ピリアルヴ
サルデーニャ各地の祭礼 ジョヴァンニ・ピリアルヴ
サルデーニャの祭礼の歳時記 ジョバンニ・ファンチェッロ
サルデーニャ料理の歴史 ジョバンニ・ファンチェッロ

5章 サルデーニャの芸術
サルデーニャの美術史 ステファノ・レズミニ
コスタンティノ・ニヴォラ ステファノ・レズミニ
マリア・ライ ステファノ・レズミニ
マリア・ライ作品マップ 杉原有紀 鈴木敏彦 エミリアーノ・カッペリーニ

近代建築を支えた建築家の系譜
輝かしき先輩たち 21 北村銀太郎 類洲環