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「NICHE 06」出版 プラハ、ウィーン、ブダペシュト建築探訪!

  • 2019.12.1
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2019年12月1日発売 書籍『NICHE 05』日英バイリンガル
プラハ、ウィーン、ブダペシュト建築探訪!

大学の知的資源やネットワークを生かして社会に貢献する建築とデザインの本
Pubblicazione di architettura e design che mette a disposizione della collettività il sapere e la rete di risorse dell’università


海外への好奇心と学びを還元する力
巻頭言
世界は目まぐるしく動いているが、建築とデザインと教育事情には常に通底するものがある。それは海外に対する飽くなき好奇心と、見聞きしたものを還元しようとする力である。NICHE6カ国目となるテーマ国はオーストリア=ハンガリー帝国とし、ハプスブルク3都である、プラハ、ウィーン、ブダペシュトを巡った。第二次世界大戦後の冷戦時代にはチェコとハンガリーは「鉄のカーテン」
の向こう側の東側諸国の一員であり、その当時、チェコは東隣のスロバキアと合わせてチェコスロバキア共和国だった。現在は3か国ともEU加盟国だが、オーストリアの通貨はユーロ、チェコはクローネ、ハンガリーはフォリントである。
プラハは20世紀に入ると、キュビスムによる新しい建築がゴチャール、ヤナーク、ホホルといった建築家によって試みられ、チェコで独自の進化を遂げた家具や建築が造られた。また、アドルフ・ロース設計のミュラー邸の改修計画のレポートとともにロースのデザインの嗜好が明らかになる情報お届けする。
ウィーンでは、オットー・ヴァーグナーやヨーゼフ・ホフマンらウィーン分離派の建築群をめぐる。折しも19世紀末のウィーンは、ユーゲントシュティールの優雅な装飾で彩られていた。また、ミヒャエル・トーネットが発明した曲木の椅子がベストセラーとなりあちこちで用いられた。
ブダペシュトはオーストリア=ハンガリー帝国のもう一つの首都として栄えていた。世紀末のハンガリーに花開いた民族主義的なアール・ヌーヴォー建築はレヒネル・ウドゥンの設計である。国立地質学研究所や郵便貯金局に見られるロマンティックな装飾はオリエンタルな意匠で一世を風靡したあと、その後の機能主義の到来で顧みられることはなかった。隣り合う国でもこんなに違う建築とデザインの足跡を知ることで、多様性の理解の一助になれば幸いである。
大学という学び舎は知的資源の宝庫である。そして言語と国境を越えた人的ネットワークこそ、未来への力を育む。NICHE編集部では、皆様からの忌憚のないご意見とご感想を励みに、ニッチな視点で世界を切り拓いていきたい。

NICHE編集長、工学院大学
鈴木敏彦

『NICHE 06』
2019年12月20日 第 1 刷 発 行
編集・著作人 NICHE(工学院大学建築学部同窓会NICHE出版会)
鈴木敏彦、中島智章、香川浩、蔡龍保、杉原有紀、土屋和男、類洲環、ほか
制作 株式会社ATELIER OPA
印刷所 シナノ書籍印刷株式会社
発行所 Opa Press
発売所 丸善出版株式会社
大型本: 261ページ
英日翻訳:杉原有紀、チェコ日翻訳 久保田志野
ISBN-13: 978-4908390074

プラハ、ウィーン、ブダペシュト建築探訪!

プラハマップ キュビズム建築を巡る

オーストリア=ハンガリー三都の建築解説 プラハ

アドルフ・ロースによるプラハのミュラー邸復元 ヴァーツラフ・ギルサ
Restoration of Villa Müller designed by Adolf Loos in Prague, Václav Girsa

結ぶ人──渡邉洪基の生涯 瀧井一博

ウィーンマップ ヴァーグナー、ロース、ホフマンの建築を巡る

シェーンブルン城館滞在記

島崎信先生と巡るトーネットの源流の旅

ウドゥン・レヒネルの生涯と作品 ミハイ・ルドマン
The Life and Oeuvre of Ödön Lechner, Mihály Ludmann

『NICHE 06』プラハ、ウィーン、ブダペシュト建築探訪!目次
中央ヨーロッパ3都探訪!
巻頭言 鈴木敏彦
世界遺産都市 プラハ、ウィーン、 ブダペシュト─オーストリア=ハンガリー君主国の三都 中島智章
オーストリア=ハンガリー三都の建築解説 プラハ 中島智章
ウィーン
ブダペシュト
コラム シェーンブルン城館滞在記 中島智章
プラハ
チェコ・キュビズム1911-1914ロンド・キュビズム1918-1925──チェコの結晶体 平井充
プラハマップ キュビズム建築を巡る 平井充
チェコの現代建築──合成の産物 ペトル・ヴォルリー
アドルフ・ロースによるプラハのミュラー邸復元 ヴァーツラフ・ギルサ
アントニン・レーモンド賞 ドミニカ・コヴァンドヴァ
コラム アントニン・レーモンドの生地を訪ねて
NICHEギャラリー 日本初のキュビズム・ベーカリー開店!鈴木敏彦、西澤高男

ウィーン
ウィーンの都市デザインとヴァーグナー 土屋和男
ウィーンマップ ヴァーグナー、ロース、ホフマンの建築を巡る 土屋和男
コラム 創業1858年 クニーシェ 杉原有紀
ヴァ―グナー、ホフマン、ロースとウィーンのモダンな家具デザイン展──王宮家具コレクション シュテファン・ベッカー
結ぶ人──渡邉洪基の生涯 瀧井一博
コラム ウィーンの日本 香川浩
島崎信先生と巡るトーネットの源流の旅

ブダペシュト
ウドゥン・レヒネルの生涯と作品 ミハイ・ルドマン
ブダペシュトマップ ウドゥン・レヒネルの建築を巡る 杉原有紀
建築と装飾 杉原有紀

近代建築を支えた建築家の系譜
輝かしき先輩たち 20 松本與作 類洲環
福島の建築文化を育んだ内田英吉と内田学校 平井充
土建業者清水組の台湾事業における中興の功労者──土井豊吉とその台湾における活動 蔡龍保

[表記について] ハンガリー人名表記は日本人と同じく姓名の順ですが、本書では他国の人名と揃え「名・姓」(例:ウドゥン・レヒネル)と記しました。 また、人名と地名の発音は現地にならい記しています。
本誌での表記(一般的な読み方)
ウドゥン・レヒネル(エデン・レヒネル、レヒネル・エデン)
オットー・ヴァーグナー(オットー・ワーグナー)
ブダペシュト(ブダペスト)