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白樺湖夏の家

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白樺湖夏の家 工学院大学学寮1968-2016
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建築系同窓会では旧学寮を「白樺湖夏の家」として2017年春にリニューアルオープンした。1968年に白樺湖工学院大学の教授であった武藤章先生が設計した学寮は、夏は合宿、冬はスキーでにぎわった。しかし利用者が減り、建物を解体して更地に戻す方向に大学は舵を切ろうとした。そこで建築系同窓会では土地の借地権と建物を引き継ぎ、一部を減築し利用を夏期に限定することで維持費をおさえる計画を立てた。
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20名の発起人を会員として30万円、合計600万円の寄付を集め、これを原資にアールトと北欧デザインづくしの空間に変えた。会員はそれぞれ鍵を持ち「白樺湖夏の家」を別荘のように使うことができる。寝袋は必要だが、食器から掃除機まで一通りそろっている。保存と活用にご協力頂ける方は「建築を保存する会」(入会時寄付金300,000円、維持協力金12,000円/年)に、企業として支援いただける方には「建築の保存を支援する企業の会」(入会時寄付金500,000円、維持協力費120,000円/年)をご案内する。
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武藤先生は、1961年にフィンランドに留学し、巨匠アルヴァ・アールト(1898-1976)のアトリエで直接学んだ唯一の日本人建築家であった。帰国後に武藤先生が設計した「工学院大学八王子図書館」やこの白樺湖の学寮には北欧の建築の特色が色濃く現れている。トップライトからの光の取り入れ方や、木をふんだんに使った内装、皆を暖かく包み込む大きな暖炉は、今なお魅力的だ。
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森に囲まれた白樺湖は、まるで日本におけるフィンランドである。「白樺湖夏の家」は、奇しくもフィンランド独立100周年にあたる2017年に始動する。1階のリビングの主役は大きくて品格のある暖炉だ。アルヴァ・アールトが1958年にパリ郊外に設計したルイ・カレ邸の暖炉を彷彿とさせる。暖炉に火を灯すと暖かさと共に空間全体が生き生きとするのを肌で感じることができる。リビングの家具と照明には、アルヴァと妻のアイノがデザインしたアルテックの製品を選定した。暖炉の廻りにはイージーチェアを配し、4人掛けの各テーブルにはペンダントライトを机上面から60cmの位置に設置した。飴色にエイジングしたブナのフローリングに合わせて、1950年代から70年代のヴィンテージモデルの椅子とテーブルを選定した。
shirakabako-6「白樺湖夏の家」ではリビングの2層吹き抜けの空間を介して、キッチン、1階の和室、2階の廊下、2階の和室、暖炉、トイレ、シャワー室が立体的に繋がっており、天井のトップライトから自然光が降り注ぐ。2階の手すりに備えつけられたソファーに座りながら1階を見下ろすと、傾斜したラワンベニアの天井が大きな硝子の開口部を貫通して庇となり、その先に白樺の木々が広がるのが見える。
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旧学寮で使用した既成家具を一新し、インテリアの家具調度品には徹底してフィンランドのデザインを選定した。「白樺湖夏の家」はフィンランドの暮らしとデザインを体験し学ぶ場となる。家具と照明は、アルテックが1950~70年代に製作したアールト夫妻デザインのヴィンテージ家具で統一した。椅子やテーブルの脚のL型に曲がった曲げ技法こそアールトの家具の特徴である。この部分を詳細に見ると製作年代ごとのデザインの変遷を比較できる。選定にあたっては北欧家具を専門に扱う「talo」の山口太郎氏の協力を得て、希少なアイテムを揃えた。イッタラのグラスは1932年にアイノ・アールトがデザインしたもので、グラスの同心円の模様が機能と美しさを兼ね備えている。白磁の食器「ティーマ」とカトラリーの「スカンディア」は同じくイッタラから同年代に活躍したカイ・フランクのデザインを揃えた。シンプルでモダンなデザインは、どんな料理も美しく見せてくれる。こうして、「白樺湖夏の家」は北欧デザインを体験する宿泊施設でありながら、アールトの家具を動態保存するミュージアムとなる。もちろんカーテンのシエナもアルヴァのデザインだ。
shirakabako-9フィンランドは日本から飛行機で10時間半の距離にある。森と湖の豊かな国に、白樺湖から思いを馳せてみるのはどうだろう。アールトに薫陶を受けた武藤先生の建築以上に、フィンランドのデザインを味わうのにふさわしい器はないのではないか。
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■ 白樺湖夏の家/ 工学院大学旧白樺湖学寮
所在地: 長野県茅野市北山29
フィンランドの巨匠アルヴァ・アールトに学んだ唯一の日本人建築家で工学院大学教授であった故武藤章先生(1931-1985) が設計した建築の動体保存を目的に、主に北欧の建築とデザインに関する講演会やワークショップ等に活用する。「白樺湖夏の家」を拠点に、北欧の暮らしに学ぶ環境づくりを啓発し、白樺湖の活性化に貢献したい。
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■ 建築を保存する会
本建築を保存する活動を支援し、維持管理に協力する校友の会。入会時寄付金 300,000円、維持協力金 12,000円/ 年。現在の会員数は20名。入会金は改修工事費等の原資となった。会員には「白樺湖夏の家」の鍵が与えられ、まるで自分の別荘のように利用することができる。会員は広く校友と教職員から募集する。会員の同伴を条件に、だれでもいつでも夏の家を利用することができる。教員が入会し研究室のゼミ活動等で有効活用することを期待している。利用スケジュールは「建築を保存する会」が管理する。会員募集中。

■ 建築の保存を支援する企業の会
本建築を保存する活動を支援し、維持管理に協力する企業の会。入会時寄付金 500,000円、維持協力費 120,000円/ 年。建築の保存をサポートする企業として建築系同窓会が表彰する。企業会員は本建築を企業研修、企業主催のイベントに利用できる。本学学生を対象とするイベントについては、建築系同窓会が全面的に支援する。会員募集中。

■ 施設内容
1 階:リビング、暖炉、ダイニングキッチン、和室11.5畳、トイレ、シャワー室。2階:和室6畳(4室)
設備:IHヒーター、冷蔵庫、電子レンジ、バーベキューコンロ、調理器具一式、小型電気温水器、シャワーユニット、ウォシュレット付トイレ
宿泊定員:24名
家具調度: アルヴァ・アールト、アイノ・アールトがデザインしたヴィンテージ家具、照明器具、アイノ・アールトデザインのグラス、カイ・フランクのテーブルウエア他
公開日:2017年より5 月〜10月の6 ヶ月間
周辺施設: 白樺湖温泉すずらんの湯( 割引有り)

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